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zoom RSS 神話学による日本昔話研究3 古川のり子先生―2

<<   作成日時 : 2017/07/15 08:00   >>

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前回の続きで、古川のり子先生による新しい昔話研究をご紹介します。

出典:
古川のり子『昔ばなし――あの世とこの世を結ぶ物語』
山川出版社、2013年。

昔話の様々な要素――動物の種類や小道具や場所など――
について、『古事記』『日本書紀』『風土記』『万葉集』などの古代文献や、
民俗学の事例を挙げ、その意味を考えることで、
昔話全体を新たに解釈する。
副題にあるように、昔話に境界を超えるための装置が
様々な形で用意されていることが論じられる。

・「桃太郎」
陽気としての桃
→『古事記』でイザナキが投げて
ヨモツシコメを退散させた桃に通じる

犬:異なる世界を移動する人間を守る
→人間の従者として、自然と文化、
あの世とこの世の境目に位置する。

猿:異なる世界へ「陽気」としての桃太郎を出現させる
→記紀神話で天孫を導いたサルタヒコに通じる

雉:鬼の世界への出入り口を開く
→アメワカヒコの葬儀で雉が哭き女の役割を果たす。
 →あの世とこの世の間に魂が出入りする通路を開く。

キビ団子:こちら側の世界へつなぎとめる(桃太郎が帰ってくるために)
→イザナミの「ヨモツヘグイ」黄泉の国で食べ物を食べたので、
帰ることができなくなった


・「かちかち山」
記の稲羽の白兎のトリックスター(いたずら者の神的存在)としての性質を、
タヌキとウサギが両方とも受け継いでいる。

・「鬼の子小綱」
「鬼に誘拐された女が子供を連れて舟で鬼から逃げる時、
尻を見せて叩くと、鬼が笑って飲み込んだ水を吐き出した。」

なぜ女は尻を見せて叩くのか
→本来は女性器露出の話であったと思われる→アマノウズメ
「女性器と笑いは、人間が生きていくために重要な力を発揮する」

鬼の子の死→節分のヤキカガシは鬼の体の一部、
害虫は鬼の死体の変化したもの。
節分の豆も鬼の体。
鬼は神話のイザナミやオホゲツヒメに遡る古い神格。
イザナミもオホゲツヒメも、火に焼かれて死ぬか、殺されて、
その体から農作物など人間の文化に必要なものを発生させた。

・「三枚の護符」
導入として「トイレの怪談」。現代でもトイレは異界に通じる。
ヤマンバから逃げるため、小僧はまず便所へ行く。
便所=あの世とこの世を結びつける境い目、生と死の転換点。

・「蛇婿入り」
娘のもとに男が通ってくる。
その男の正体を暴くのに使われたのが糸。
なぜ糸が魔物の正体を暴くのか。

糸・織物=秩序を織りなす運命の糸。
男女を結びつけ、定められた人生の模様を織りなす。
「運命の織物・糸」が自然神の混沌とした力を秩序化する
(織物の神タケハツチが星の神を従わせる・紀)
→自然神としての蛇の正体を暴き、秩序から外れた婚姻を妨げる

このように古川は、
神話との連続性において昔話の細かい要素を緻密に分析するという、
新たな手法を提示している。

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