沖田瑞穂の神話雑記

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zoom RSS 神話学による日本昔話研究1 吉田敦彦先生

<<   作成日時 : 2017/07/13 08:00   >>

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一年以上前の話になりますが、第一回神話学研究会で、
吉田敦彦先生、古川のり子先生、丸山顕徳先生の昔話研究について
発表しましたので、そのレジュメをもとに、ご報告いたします。

1.吉田敦彦の昔話研究
出典:
『小さ子とハイヌヴェレ』みすず書房、1976年。
「小さ子とハイヌヴェレ」
トホウ小僧、ハナタレ小僧、ヒョウトク、竜宮の猫・犬・亀

『縄文土偶の神話学』名著刊行会、1986年。
第五章 昔話にも見られるハイヌヴェレ型神話の痕跡
瓜子織姫、花咲爺、天道さん金の鎖
第六章 山姥=山の神と縄文土偶

『妖怪と美女の神話学』名著刊行会、1989年。
「山姥とイザナミ」
食わず女房、牛方山姥、見るなの座敷、姥皮


「ハイヌウェレ神話」 インドネシア・セラム島・ヴェマーレ族(イェンゼンが採集)
ハイヌウェレはココヤシの実から誕生した。
アメタという男が養父として彼女を育てた。
ハイヌウェレは驚くべき速さで成長し、三日後には結婚可能な女性となっていた。
彼女は普通の人間ではなかった。
自分の排泄物として高価な皿や銅鑼などを出した。
ある時村で、マロ舞踏と呼ばれる九日間にわたる盛大な祭が行われた。
その祭の中で、ハイヌウェレは村の人々に高価な皿や装身具や銅鑼などを
毎日配った。村人たちはハイヌウェレの富に嫉妬して、
祭の九日目に集団で彼女を殺して舞踏の広場に埋めた。
養父のアメタが占いによってハイヌウェレの死体を探し出し、
彼女の身体を細かく切り刻んであちこちに埋めた。
ハイヌウェレの身体の諸部分から、
その時にはまだ地上になかったさまざまな物、
とりわけ主食である芋が生じた。
女神ムルア・サテネはハイヌウェレを殺した人々を呪い、
彼らに死の運命を定めた。
別伝によれば、この時女神は次のように言ったという。
「おまえたちは彼女を殺した。今やおまえたちは彼女を食わねばならぬ」。
つまり人間たちはこの事件以来ずっと、
ハイヌウェレの死体から生じたイモを食べることで、
殺されたハイヌウェレの身体を食べ続けているのだ。

このハイヌウェレの神話要素が、日本の昔話において濃厚に反映されていることを、
吉田敦彦は指摘している。

山姥とハイヌウェレ
・ウル姫子と山姥:
親切にしてくれたウル姫子の家の前に山姥が大量の大便をする。
その大便を川に持って行って洗うと、錦の織物が出てくる。
→ハイヌウェレも大便として高価な皿などの貴重品を排出した。

・牛方/馬方山姥:
山姥は死体からも人間にとって有用なものを発生させる。
この点でも、ハイヌウェレの特徴と一致する。
牛方あるいは馬方に殺された山姥の死体が、
薬や小判や人参に変わった。
また、殺された死体から、薬や小判の他に、
特に作物が発生したと語られているので、この話の山姥は、
やはり死体から穀類などの種を発生させた日本神話のオホゲツヒメやウケモチ、
また芋類をはじめとする有用植物を発生させたハイヌウェレと、
とてもよく似ている。

・天道さん金の鎖:
山姥が惨死し、その死体から出た血に染まったために
作物の根や茎が赤くなったと説明されている。
この場合は植物などの起源譚ではないが、
山姥の死と植物の特徴の起源が結び付けられている。
殺害者としての月の要素も重要である。

小さ子・猫・鶏とハイヌウェレ
昔話の中で、自分の体から貴重なものを出す存在は、
山姥のほかにもある。竜宮でもらってきた小さ子や動物など。

・トホウ小僧:
青洟を出し、よだれをたらしている、見るからに汚らしい子ども。
目を瞑って三度手をたたくと、望みのものがなんでも出てくる。
(ハイヌウェレの前半部分と一致)

・ハナタレ小僧:
フーンと鼻をかむ音をさせて望みのものをなんでも出すことができる。
(ハイヌウェレの前半部分と一致)

・ヒョウトク:みっともない顔の子ども。
臍を突くと黄金の粒が出る。
(ハイヌウェレの前半部分と一致)
 
ハナタレ小僧やヒョウトクは、洟や臍といった身体の穴からの分泌物として、
様々な富を産出している。
トホウ小僧は手を三度打つことによって富を出していたが、
この小僧は常に鼻と口から分泌物を出している汚らしい存在で、
そのことと、富を産出する彼の不思議な能力との間に、
何らかの深い関わりがあるらしいことは、
話の聞き手によっておのずと了解される。

生きている間に体から汚物を出すのと同じやり方で
食物や財宝を分泌するのは、
ハイヌウェレ型神話に特徴的なモチーフであるが、
これらの小さ子の話では、ハイヌウェレ型神話の最も重要な要素である、
死体からの食用植物発生のモチーフは見られない。
しかしこの両方のモチーフをそなえた、
ハイヌウェレ型神話と全ての主要な点で正確に適合する話も、
日本の昔話には見出される。

・竜宮からもらった黒猫:
毎日小豆を五合ずつ食べさせると、五合ずつ黄金の糞をした。
倍の小豆を食べさせられて死んだ。
死骸を埋めたところからみかんの木が生えた。

・竜宮からもらった鶏:
一合の米を食べさせると黄金の卵を一つ産んだ。
倍の米を食べさせられて死んだ。死骸を埋めたところからみかんの木が生えた。


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