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zoom RSS 現代映画にみる『マハーバーラタ』の連続性と変容:発表報告2

<<   作成日時 : 2017/07/22 15:10   >>

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前回の続きで、『マハーバーラタ』を題材にした
インド映画についての発表報告です。

2『Arjun: The Warrior Prince』と現代映画における
神話の位置づけ
――『マハーバーラタ』の英雄像の<変遷>

『Arjun: The Warrior Prince(アルジュナ:戦う王子)』
2012年/インド/アニメ映画/ヒンディー語/96分
監督:アルナブ・チョウドリー(またはチャウドリー)

<物語のあらすじと原典との違い>
・アルジュナの人間的成長を描く
・アルジュナが溺れかけたビーマを助ける
→原典におけるアルジュナとビーマの
戦士としての対等な立場、
あるいはビーマの「力」における優位とは異なる表現
・「アルジュナはユディシュティラの智慧と、
ビーマの力を併せ持つ」という新たな表現
・剣で戦うという特徴
→原典においてアルジュナの武器は専ら弓。
『マハーバーラタ』における武器としての弓の優位は捨てられている
・ラックの家
・戦えずに悩めるアルジュナ
・ドラウパディーのスヴァヤンヴァラ 
黄金の魚を水中から射る(映画独自)
・ドラウパディーの一妻多夫婚は伏せられている
・カーンダヴァで森を燃やし、クリシュナと共に蛮族と戦う
→神話のカーンダヴァ森炎上を意識したものか?
・インドラプラスタ建設 魔法の要素はない
・骰子賭博
・ドラウパディーの受難
・馬に乗って都を去る
→原典では歩いて去る
・ドラウパディー、ドゥルヨーダナ殺害をアルジュナに約束させる
→原典ではユディシュティラに長々と訴える
・悩めるアルジュナ
・旅立ち、神々の地へ
・シヴァの出現
→ただし神性は低い 手が一瞬四本になることで神であることが示される
・奇妙な小人、動物との戦い 
→ここだけなぜか魔法的要素が出てくる
・空中の城の出現(インドラの宮殿をあらわしたものと思われる)、
雨の宮殿、泉の中からの弓の獲得
(アーサー王のエクスカリバーを想起させる表現)
→父神としてのインドラの不在
・ヴィラータ王国に攻めて来たクル軍を
ウッタラとアルジュナの二人が迎え撃つ
→ウッタラとアルジュナが重ね合わされる
・ウッタラを説き伏せるアルジュナ
→神話でアルジュナを説き伏せるクリシュナ
映画 アルジュナ→ウッタラ
原典 クリシュナ→アルジュナ
・ウッタラの、聞き手から物語の主役への転換
・アルジュナは剣と弓で戦う 剣の表現は映画特有
・車輪を投げられて倒れるカルナ 
カルナと車輪の神話的結びつきは不変
・馬から落ちて戦うアルジュナ
→原典ではクリシュナの御す戦車から戦う 
原典における戦車戦の重要性は見られない
・師と戦う決意をするアルジュナ ここでも剣の戦い
→教示者はクリシュナではない ドローナ
・ドゥルヨーダナとアルジュナの戦い 剣と素手 
→原典ではドゥルヨーダナと戦うのはビーマ
・ドゥルヨーダナの命を助けるアルジュナ

特徴を抽出すると、以下のようになる。
●人間としてのアルジュナ。
●クリシュナの神性が全く表現されない。
●全体に神話的要素がきわめて薄い。意図して薄められているものと思われる。
●アルジュナの成長に物語の軸がある。

<神話の「地域性」>
・ディズニーにおける「神性」の剥奪、「人間性」の授与
・神話の「物語」に着目すると、同一のモチーフが
世界中で見つかることが多く、
神話は世界的なものであるように見える。
しかし神話の「宗教性」に着目すると、
とたんにそれは地域限定的なものにならざるをえない。

・神話が現代世界において広く普及するためには、
その「神話的要素」は薄められなければならない。

→人としてのクリシュナ。しかもほとんど活躍しない。
神話においては重要すぎるゆえに、
世界に向けて「神クリシュナ」を発信できない。

→シヴァの表現の縮小化。
シヴァ神は神話における偉大性を表現されず、
ただ一瞬腕が四本に変わる、神的表現はそれのみ。

→「トロイ」(2004年/アメリカ映画/ウォルフガング・ペーターゼン監督)
において、アキレウスの母である海の女神テティスが一瞬現れるが
(神・女神の出現はその一か所のみ)、
母として年相応の姿で現れ、不老不死の女神としては表現されない。

※「神話」から「人間性の表現」へ

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